薬剤師資格を得られる6年制コース
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4年制から6年制へ
これと連動して6年制課程においては約半年の薬局病院実務実習が必修化されました。
薬学部の標準修業年限が6年に延長されることとなった背景には、薬剤師の教育の場である薬学部を6年制にすることで先進国の中で遅れている薬剤師の教育を充実させ医療の質の向上をはかる、という旧厚生省の要望がありました。
一方、旧帝国大学等一部の大学においては、博士前期課程(修士課程)の廃止や博士後期課程の修業年限の延長により大学院生が少なくなる、という反論がなされていたといわれ、現にこれらの大学においては4年制課程を残置する傾向にあります。
4年制と6年制の割合
2006年以降も、全ての国立大学は4年制の薬科学科を残しており、4年制の定員は全体の2/3近くに及びます。
重要ポイント!
国立大学薬学部を卒業しても半数近くは薬剤師国家資格を得られないことになります。
現在の定員を各課程毎に法人別に併記すると、下記のようになっています。
- 国公立大学
- 6年制課程:約700名
- 4年制課程:約1,500名
- 私立大学
- 6年制課程:約10,000名
- 4年制課程:約500名
この数字が示すとおり、薬剤師資格を得るためには、国立大学ではなく、私立大学に進学するべき時代になりつつあります。
高い専門性の求められる薬学部教員
薬学部の教員には、薬剤師を養成するための講義や専門性が求められますが、実際には薬剤師としてのキャリアは求められてきませんでした。
そのため、現在までは薬学部の大学院修了者で、博士課程へと進学した者が教員となるケースが大半であり、薬剤師免許を保有してはいるが薬剤師としての経験は全く持たない人材が教官となっていました。
今後の国立大学薬学部出身者の多くは、薬剤師免許を取得できない薬科学科と大学院を修了して博士となるため、薬剤師免許を保有しないこととなります(薬学科出身者は、薬剤師としてキャリアを優先するため、博士課程には進学しないと考えられる)。
では、今後はどのような人材が薬学部教員となるのでしょうか?
これまでは、旧帝大(東京大学、京都大学など)の薬学部出身者が、4年卒業時に薬剤師免許を取得し、その後、修士・博士課程へと進学して、日本中の薬学部の教員となる場合が大半でした。
しかし、旧帝大に6年制コースの定員が減ってしまい、その大半が薬科学科出身で薬剤師免許を保有しないため、薬学部の教員となれない可能性が高まったといえます。
大学によっては、薬剤師免許を薬学部教員の必要事項としない大学もありますが、医学部や歯学部と同様に、やはり薬学部の教員は薬剤師であるべきであって、そのことを厚生労働省の意向として示しているものと言えます。
薬剤師免許と学位の二つを保有する人材が減ることで、今後の薬学部の人材確保が難しくなるかも知れませんが、薬学科の教員には薬剤師免許・薬学経験が必須となり、薬科学科の教員にはそれを求めないなど、役割分担と分業がより明確になりつつあります。