本当の薬剤師国家試験合格率とは?
薬学部は薬剤師を輩出するという社会的役割を担っており、薬剤師国家試験合格率は薬学部や薬科大学の重要な評価指標のひとつです。
受験生は、薬剤師になれる大学への入学を目指して受験勉強をし、志望大学への合格を目指すのですが、その際に偏差値だけではなく、薬剤師国家試験合格率(薬剤師になれる指標)を参考にされている方も多いのではないかと思います。
しかし、公表される薬剤師国家試験合格率にはカラクリがあり、真の薬剤師国家試験合格率とは大きく乖離しています。
このページでは、公表される合格率には現れない真の薬剤師国家試験合格率について説明します。
薬剤師国家試験合格率は、受験者数のうち、何名が合格したかの割合を示すもので、毎年厚生労働省が取りまとめて発表しています。
一般的にニュースなどで取り上げられる合格率は以下のように算出されます。
- その年の新卒受験生(国試浪人は含まない)を対象とする
国家試験に不合格となり、二年目の受験に望むものは現役受験生とは分けて合格率分母には含まれない - 分母は受験生であり卒業生ではない
卒業時の留年生には受験資格は与えられず、また卒業できても成績が悪い学生には受験資格を与えない大学が多い
例えば、入学時100人の定員だったとしても、留年・卒業時の学内試験の成績などで、受験生総数は下記のように計算されます。
- 6年卒業時までに留年した学生
- 6年間で30人が留年した場合、70人が卒業できることになります。
- 卒業は出来たが成績が悪く、大学が受験許可を出さない
- 70人の卒業生のうち、下位20名が受験資格を与えられず、50名が受験できることになります(上記の2)。
- 前年度卒業生だが受験許可を与えられず、今年初めて受験する国家試験浪人生
- 初めての受験だが卒業はしているため、現役生とは分けて合格率分母には加えられない(上記の1)。
- 現役生50人・国家試験浪人生20人が受験して、それぞれ40人・5人が合格!
- 合格率は、40/50=80%として公表されます。
このように表面上は80%の合格率となりますが、入学時の100人からは半分以下の40%、初めての受験となる国家試験浪人生の20人を含めると、45/70=64.3%となり、公表される合格率よりもずいぶんと低いことが分かります。
特に、国家試験浪人生は大学卒業後も大学のゼミなどに参加して、人学年下の受験生とともに勉強する場合も多いため、合格率の分母に含めて議論することも必要な場合もあるかもしれません。
このように、公表される合格率は各大学によって上方修正されるように受験生を制限した結果のものであることを理解しておくとよいでしょう。
真の合格率を確認するためには、公表される合格率や合格率ランキングではなく、入学者定員数を分母とした合格者数を確認するとよいでしょう。
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