薬学部出身者の就職先

薬学部出身者の就職先は、ほぼ全員が薬剤師免許を所得していた6年制移行以前と比べて変化してきているのでしょうか?

 

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国公立大学薬学部出身者の就職の現実

この疑問を考える前に、多くの受験生が知らない薬学部出身者の就職の現実をお伝えしなければなりません。

これまで、4年制の薬学部卒業者は大半が薬剤師免許を取得するにも関わらず、薬剤師としての就職・就業率は必ずしも高くはありませんでした。

特に国公立大学卒業者に顕著で、4年制時点での薬剤師就職率(免許使用率)は4割程と言われていました。

 

国公立大学薬学部出身者の多くは、大学院に進学して製薬会社の研究員や大学教官・研究機関の研究員になるなど、薬剤師以外の道へ進学することが花形の就職先とされていたためです。

つまり、優秀な人材が薬剤師になるのは勿体ないと考えられており、国公立大学薬学部の中では成績下位、或いは他の分野で活躍できない人材が、薬剤師になるという現実があります。

現代の日本では、学歴は関係なくなってきているかも知れませんが、それでもやはり日本の未来の頭脳とも言える国公立大学、しかも難関の薬学部ですから、社会のリーダーとなるべく大学・大学院修士課程・大学院博士課程へと進むべきという意見も当然だと思えます。

また結果的に、社会的地位や給与待遇から見て、薬剤師の処遇が製薬会社やキャリア公務員、その他職業より低かったこともあり、現在まで国公立大学出身の薬剤師(免許利用者)は非常に少なくなっています。

 

薬学6年制による変化

2006年には、これを改善するために6年制へと移行したと言えます。

修士課程と同等の6年制を卒業することで社会的地位を高め、また薬剤師免許取得者の免許使用率を高めることで、医師や歯科医師のように薬剤師・薬剤師会の社会的発信力を強めることが狙いです。

国立大学の薬学科定員を少なくし、4年制の薬科学科の割合が非常に高くなっているのは、このような状況を見ての判断だったのでしょう。

6年制が始まったばかりで今後の状況は変わるかもしれませんが、やはり国公立大学の優秀な学生は6年制卒業後で薬剤師免許を取得しても、薬剤師よりも処遇のよい製薬会社やキャリア公務員などに就職する者が多いようです。

 

一方で4年制学科を卒業した方は、薬剤師免許は取得できません。

そのため大半が大学院へと進学し、その後一般企業へと就職するようですが、薬学部出身のメリットは活かせているのでしょうか?

 

前置きが長くなりましたが、近年の薬学部出身者の就職先と言っても、薬学科・薬科学科、国公立・私立、で全く状況が異なることがご理解頂けたでしょうか?

 

国公立薬学科出身者の主な就職先

  1. 製薬会社(大学院博士課程修了後)
  2. 研究所職員(大学・国立研究所など)
  3. 公務員(PMDA・厚生労働省、地方自治体など)
  4. 病院薬剤師(大学病院、基幹病院など)
  5. その他一般企業

国公立薬科学科出身者の主な就職先

  1. 製薬会社(大学院修士・博士課程修了後)
  2. 化学系会社
  3. 研究所職員(大学・国立研究所など)
  4. 公務員(PMDA・厚生労働省、地方自治体など)
  5. その他一般企業

私立薬学科出身者の主な就職先

  1. ドラッグストア薬剤師
  2. 調剤薬局薬剤師
  3. 病院薬剤師
  4. 公務員(PMDA・厚生労働省、地方自治体など)
  5. その他一般企業

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