薬学の時代

ボーダレスなグローバル社会には様々な病気が存在し、あるいは新たに見出され、また根治されたと思っていたものが再興し、多くの人々がそのために苦しんでいます。医薬品はこれまでも、これからも私たちの生活の質(QOL)を回復し維持し高めるための大切なツールです。医薬品産業は国内だけでも現在8兆円規模であり、知識集約型の重要産業として認識されていますし、輸出産業としても今後の発展が期待されています。私たちに課せられた責務は、新しい有益な医薬品シードを創製し、創製技術を開発し、あるいはまた育薬技術を開発すること、そしてその産業で活躍する人材や高度専門化する医療現場で職能を発揮する薬剤師を育てることなどです。また、化粧品、食品添加物、健康食品、あるいは環境汚染物質などの生活関連物質に含まれる化学物質について私たちはより良く知り、それらをうまく活用したり、あるいはそれらから受ける健康被害を未然に防いだりすることが現代ではますます大切になっています。

このような状況に対応できる人材、更にレギュラトリーサイエンスを実践する行政組織で活躍する人材、こういう方々を育てることができるのも私たちの教育現場です。このように、現代社会が必要とする医薬品・化学物質にかかわる技術、製品、人材すべてに私たちの薬学が生かされる状況を見つめると、いまこそ、「薬学の時代」と申しても過言ではありません。

薬学部の歩み

薬学部の成立は昭和25年(1950)4月に九州大学医学部薬学科が新設された時点とされていますが、医学部の歴史に更なる源流を求めますと、慶応3年(1867) に黒田藩が西洋医学の教育機関である「賛生館」を設置し、そこを母体として、明治36年4月(1903) に明治政府の勅使により、京都帝国大学福岡医科大学が設置されたことが歴史にあります。明治44年(1911)1月にはまず九州帝国大学が設置され、それを追いかけるように同年4月には京都帝国大学福岡医科大学が九州帝国大学医科大学となり、その後名称変更により九州帝国大学医学部、さらに戦後、昭和22年(1947) 10月には九州大学医学部となりました。そうして、昭和25年(1950)4月に九州大学医学部に薬学科が新設され、昭和39年(1964)4月に至り、新たに製薬化学科が付加設置されて薬学部が独立・誕生した次第です。ごく身近な先輩方は医学部の学生と共に同じ教室で学んだ訳だし、また昨今の医学研究院との密接な研究・教育のつながりを考えますと、薬学部の源流は慶応3年(1867)であるとも言えます。

その後、平成11年度からは総合薬学科の1学科制、平成18年4月より、薬学部は4年制の創薬科学科と6年制の臨床薬学科の2学科制が敷かれて現在に至っています。

大学院薬学府の歩み

昭和28年 (1953) 4月に薬学研究科薬学専攻が開設されたのち、昭和43年には製薬化学専攻が増設され、平成4年(1992)には国立大学としては初めての試みとして医療薬学専攻が設置され、計3専攻となりました。平成11年(1999)からの大学院重点化に応じて、3専攻を廃し、医療薬科学専攻と創薬科学専攻の2専攻に再編し、現在に至っております。なお、教職員の所属する研究組織を「薬学研究院」と呼び、学生が所属する教育のための組織を学部生であれば「学部」、大学院生であれば「学府」と呼称します。

薬学部を志望される皆さんへ

「薬学の時代」に記したとおり、薬学を学んだ方々の社会活動は非常に広範に渡ります。その中に、皆さんが望まれるものがありましたら、薬学部および薬学府、薬学研究院のホームページをじっくりとお読みください。そこには創薬研究や育薬研究にいそしむ私たちの姿が反映されています。創薬研究にも育薬研究にも実に多くの驚きと喜びが隠されています。私たち教員とその活動を支える職員は、このような研究の実践と教育を通して、皆さんが希望実現に向かって進まれることを全力を挙げてサポートします。ぴんと感じることができた君たち、どうぞ薬学においでください。

在学中の学生諸君へ

薬学部あるいは薬学府に在学中の諸君は、日々の講義と実習・研究に追われてしまい、ともすれば入学時の新鮮な情熱を忘れてしまう事もあるかもしれません。でも、時折立ち止まって「なぜ今ここで薬学を学んでいるのか」という原点に立ち返り、自分の人生について真剣に考えてみてください。様々な人生があってしかるべきですし、こうあらねばならないというものでもありません。一人一人にとってかけがえのない人生ですので、多様な価値観でご自分の人生設計をしてください。自分がどこかで社会に役立っていることを実感できなければがんばれないヒトもいるかと思います。私も含めてそういうヒトは、「薬学は社会に貢献していることを実感しやすい学問」ですから、ここで学べる幸せを実感してください。また、大学生活できることをご両親に深く感謝してください。大学は、共通の人生道場です。私たち教師も共に学び育っています。

九州大学薬学を支えてくださる卒業生や多くの方々へ

現在、私たちはかつてない大変な時期にさしかかっています。4年制と6年制並立にともなう様々な調整、大学法人化に起因する多くの未解決の問題、少子化による学生数減少、国家的規模および九州大学独自の状況に起因する人件費削減のダブルパンチと、それによる人員削減と業務の加重、等々の困難な状況で、どうすれば教育の質を確保して、研究の発展を期するか、一工夫も二工夫も考案しなければ薬学は難破してしまいます。先輩諸氏が築きあげた歴史を守り今後の発展を期するには、皆さんの更なるご支援を賜らねばなりません。その具体的手法をこれから少しづつご呈示しますので、どうぞ忌憚なきご意見と共に改善策やご協力ご援助を賜れば幸いです。ホームページも刷新して、活動する薬学をきちんとお見せするつもりです。ご期待ください。よろしくお願い申し上げます。

 

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